維持、確保ともに相当厳しい大阪の救急医療体制の現状

大阪府は「東名阪」とも称される、日本でも有数の大都市です。西日本の経済の中心都市とも言っても過言ではありません。関西圏において最大の人口を抱えているだけでなく、府外から訪れる人も多く、救急医療体制の確保・維持は大きな課題となっているのです。この記事では、大阪府が公表している資料である「救急医療の現場」を元に紐解いてみます。

大阪府内の救急医療体制は搬送人員が多いため、非常に厳しいのが現状

まず現時点における、大阪府の救急医療体制の実態についてご説明しましょう。大阪府の総面積は約1,905km2と、比較的コンパクトな範囲に収まった自治体と言えます。また府下の敷地の内、99%が都市計画区域に指定されているので、都市計画道路や主要生活道路の整備は他府県と比較しても進んでいると言って良いでしょう。

また府下全域に鉄道沿線が敷設されており、市街地はその沿線に沿う形で集積されています。非常に交通の弁が良く、機能的な街に仕上がっているということです。道路設備の観点からは、救急医療における搬送に最適な形と言えるでしょう。

また府全域を8つに分割し、それぞれが大都市型の二次医療圏に設定されています。その全ての医療圏には基幹となり得る病院が複数存在しているのです。どの病院が救急搬送を受け入れたとしても、高品質な医療を提供できる態勢が整っていると言っても良いでしょう。

つまり大阪府は非常にコンパクトにまとまった、府下全域から中心都市までアクセスの簡便なネットワーク型都市であり、その地勢にを生かした医療体制が敷かれているため、高品質な救急医療を提供できる土地と言えます。

大阪府内の救急搬送の特徴

しかし現実的に、大阪府は救急医療体制の維持・確保に苦慮しているのがその実態です。なぜなら大阪府は、約886万人もの人口を抱える大都市だからです。多くの人が居住しているということは、救急医療を必要とする人の数も増えるという事に他なりません。

実際に年間の救急搬送人員は41万人という、膨大な救急医療需要が存在しているため、現在の他府県と比較しても充実した救急医療体制を持ってしても、その全てを捌き切ることは容易ではありません。搬送件数に占める軽症者の割合が60%超と高いことも大きな問題です。また重症患者を搬送する際の、搬送先選定までの照会件数が多く、さらに搬送に係る現場滞在時間も長いため、迅速な搬送を実現できていないとも言えます。

大阪府内の救急医療体制確保の課題

先ほども述べた通り、大阪府の救急医療体制には多くの課題が残されています。まず救急医療の受け入れをしている医療施設に、精神疾患の既往がある患者の身体的異常や、過量服薬を主訴とする救急患者に対応できる医師の確保と受け入れ体制の整備が急務です。

また救急搬送への協力による負担増を懸念し、救急医療への協力を辞退する病院が増えていることも大きな問題でしょう。また受け入れたくとも、受け入れに必要な空床を用意できない病院が多いことも大きな影響を与えています。

大阪府内の救急医療体制確保のための目標及び施策

そうした現状を打破するためには、救急医療体制の充実を図り、救急車の現場滞在時間を短縮し、救急搬送人員の60%を占める軽症患者の割合を減少させることを目標として掲げているのです。そのために必要な施策として、「精神科救急・身体救急連携強化ネットワーク事業」を推進し、地域における複数の医療施設を1つの総合病院のように機能できるよう整備を進めています。

また救急医療機関の応需能力確保のため、緊急度・重症度の高い患者を的確に選別するための、「中核的二次救急医療機関応需能力強化支援事業」や、「救急搬送患者の早期転退院支援事業」、「府内小児科救急告示医療機関が行う医療機器整備事業」が推進され、限られた医療資源の有効活用が図られているのです。また災害時を見据えた救急医療機能の強化に関しても、大きな予算が投入されています。また「救急医療の利用やあり方啓発事業」と称し、実際に救急医療を利用する府民の意識改革にも務めています。

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