延び続ける平均寿命…大阪府における高齢者施策の現状

2017年7月に厚生労働省より発表された「平成28年簡易生命表の概況」によると、2016年の日本人の平均寿命は過去最高を更新し、5年連続で寿命延伸となりました。前年である2015年と比較し、女性は0.15歳、男性は0.23歳の伸びを見せています。その結果、日本人の平均寿命は香港に次ぐ、世界第2位となりました。

この結果は、医療技術の進歩によるものだけではありません。日本人全体に広がりつつある健康志向の高まりも大きく寄与していると考えられます。毎日の生活環境の改善が進むことで、健康寿命も延伸し、高齢者の自殺が減ったことも大きな要因でしょう。

しかし平均寿命が伸びるということは、高齢者が増えるということも意味しています。その結果として、全人口の21%が65歳以上という、世界でも類を見ない超高齢社会に向かって、現在の日本はひた走っているとも言えるのです。2025年には「団塊世代」が75歳以上の後期高齢者となることで、国民の3人に1人が65歳以上という未曾有の人口構成状況となると試算が出ています。

またその時には、日本国民の5人に1人が75歳以上となり、今までの医療業界の常識が、全く通用しない世の中になることは見に見えていると言っても良いでしょう。医療もその時代に合わせたものに進歩していく必要があります。大阪府でも、そうした超高齢社会に対応するため、様々な施策を打ち出しているのです。

大阪府では高齢者の認知症有病率が増加しているのが現状

大阪府が行なっている、超高齢社会に向けた取り組みに関して論ずる前に、まずは大阪府の現状を把握しておく必要があるでしょう。まず超高齢社会を迎えるにあたり、現在最も大きな問題となっているのは健康寿命の伸び幅です。大阪府が平成22年に公表した「健康寿命に関する資料」によると、大阪府民の平均寿命は、男性で79.06歳、女性では85.90歳でした。

同時期の全国平均寿命と比較して、男女共に約半年程度も寿命が短いということになります。問題となっている健康寿命に関しては、男性では69.39歳、女性は72.55歳となっており、寿命が訪れるまで、男性で10年程度、女性に至っては13年以上もの間、体に不調を抱えたまま生きているということになるのです。このデータからは、10年近く自分の足で立つこともできず、病院のベッドで死を待つ老人や、誰にも気付かれないまま、自宅で孤独死をする老人が多いという現実が垣間見えます。

また体は動いていても、認知症を有病しているため、凡そ健康とは呼べない生活をしている老人も増えているようです。平成29年7月に大阪府福祉部より報告された、「大阪府における高齢者施策の現状と課題、対応の方向性」によると、大阪府内の認知症有病者数は2015年時点で33.2万人となっています。この人数を多いと見るか少ないと見るかは、意見の分かれるところかと思います。問題となるのは、20年後の2035年には、56.2万人にまで増加するという将来推計の結果にあるのです。

大阪府では「治す医療」から「治し支える医療」へのシフトが望まれる

こうした未来予想図に適切に対処していくためには、既存の「治す医療」とは違う考え方が必要になります。20世紀は短命の社会であり、医療は病院を中心とした世紀でした。しかし長寿社会となる21世紀は、地域包括のケアを必要とする、新しい世紀となります。

そのたまに必要な事は、「治し、支える医療」という時代に合わせた考え方です。これまでの治す医療では、病院が単独で対処し、長期入院による医療が提供されてきました。しかしこれからの世紀において必要とされるのは、病院だけでなく地域全体で医療・介護を提供していくべきという考え方です。

これからの社会は平均寿命が延び、人口比率的に老人が増え、生産年齢人口は減少傾向となるので、医療に費やすべき予算が爆発的に増加します。生産年齢人口が減少傾向にある以上、医療や介護に費やせる財源は減り続けるので、地域住民参加型のサービスを提供する事で規定の予算内に収めたい、という思いが感じられます。こうした表現をしてしまうと、身も蓋もないように感じてしまいますが、これも目を背けることのできない現実です。

「治し支える医療」を実現するためには介護費用の減額が求められる

この「治し、支える医療」が実現すれば、医療に関わる費用を大幅に削減することができるでしょう。しかしそのためには、家庭内での介護を充実させる必要があります。この問題を解決する1つの手段が、介護サービスの需実にあるのです。

しかし大阪府は、日本で最も被保険者1人あたりの介護費用が高く、これを解決する必要があります。そのためには地域ぐるみのケアや、社会参加のための場を充実させる事で、要支援・要介護者の自立を促し、生きる元気を取り戻してもらう事が重要です。実際に大阪府では、「大阪ええまちプロジェクト」と題し、様々な施策が実施されています。

住民主体型サービス創出のための直接的支援や、そのために必要な機運醸成のための情報発信。生活支援コーディネーターのネットワークの強化による、地域を越えた関係づくりやイベントの提供といった活動が行われています。

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